花火の価は水中に擲つに似たりといえども、
さにはあらじ、
玉屋鍵屋が懐に入らば、
また出て世にめぐりつべし、
其かのみならず、
おのれひとりたのしむにはあらで、
幾多の人の目を喜ばしむる徳は孤ならずして、
隣国の下つ総にもおよびぬべし
新潟県 有限会社小千谷煙火興業 瀬沼 輝明氏監修 (Grok訳👇)
原文
【近世職人盡畫詞より】 花火の価は水中に擲つに似たりといえども、 さにはあらじ、 玉屋鍵屋が懐に入らば、 また出て世にめぐりつべし、 其かのみならず、 おのれひとりたのしむにはあらで、 幾多の人の目を喜ばしむる徳は孤ならずして、 隣国の下つ総にもおよびぬべし
現代日本語での解説
この文章は、江戸時代の「近世職人盡畫詞(きんせいしょくにんづくしえことば)」という、さまざまな職人の仕事を絵と詞で紹介した書物に収録された、花火師に関する一節です。以下に、現代日本語でわかりやすく解説します。
原文の意味
この詞は、花火の価値やその社会的・経済的な意義を詩的に表現したものです。以下に内容を分解して説明します。
1. 「花火の価は水中に擲つに似たりといえども、さにはあらじ」
• 花火の価値(値段や効果)は、水の中に投げ入れるように一瞬で消えてしまうように見えるかもしれないが、実際はそうではない。
• つまり、花火は一瞬の美しさで終わるものと思われがちだが、その価値は単なる刹那的なものではないという主張です。
2. 「玉屋鍵屋が懐に入らば、また出て世にめぐりつべし」
• 玉屋や鍵屋(江戸時代を代表する有名な花火師の屋号)のもとに花火の代金が入れば、そのお金は再び世の中に循環する。
• 花火の代金は花火師の収入となり、彼らが新たな花火を作るための資金として使われ、経済が回ることを示しています。
3. 「其かのみならず、おのれひとりたのしむにはあらで」
• 花火の価値はそれだけ(経済的な循環)に留まらず、単に自分一人で楽しむものではない。
• 花火は個人的な楽しみを超えた、もっと大きな影響を持つという意味です。
4. 「幾多の人の目を喜ばしむる徳は孤ならずして、隣国の下つ総にもおよびぬべし」
• 花火は多くの人々の目を楽しませる「徳(良い影響)」があり、その効果は孤立したものではなく、遠くの地域(「隣国の下つ総」=近隣の地域や人々)にも及ぶ。
• 花火の美しさや楽しさは、広く人々に共有され、喜びを広げる力があると述べています。
全体のテーマとメッセージ
この詞は、花火の価値を単なる一過性の娯楽や金銭の浪費と見なすのではなく、以下のような多面的な意義を強調しています:
• 経済的価値:花火にお金を使うことは、花火師の生業を支え、さらなる花火の製作や経済の循環につながる。
• 社会的価値:花火は多くの人々を同時に楽しませ、共有の喜びを生み出す。
• 文化的影響:その美しさは地域を超えて人々に感動を与え、広く影響を及ぼす。
江戸時代の花火は、夏の風物詩として人々の心を掴むだけでなく、地域の祭りやコミュニティの絆を強める役割も果たしていました。この詞は、そんな花火の深い価値を詩的に讃えたものと言えます。
ひとまず、2025年の夏は終わり、花火の季節も終わり、、、
さにはあらじ!
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